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脳・脊髄の治療と脳ドック 脳・脊髄の治療と脳ドック

内視鏡手術

神経内視鏡手術とは

脳神経外科領域における内視鏡を使用した手術です。内視鏡手術は、他分野では硬性鏡を使用した腹腔鏡下手術(胆嚢摘出術、胃癌摘出術、子宮筋腫摘出術など)や胸腔鏡下手術(肺癌摘出術など)、また軟性鏡を使用した胃カメラ検査・手術や大腸カメラ検査・手術により発展してきました。脳神経外科においては使用できる内視鏡はその径が小さい必要があり、導入がやや遅れましたが、その細径化とともに1990年代から一部で積極的に試みられはじめました。当院においては瀧本洋司前院長が日本におけるパイオニアの一人として神経内視鏡を導入し、様々な疾患に応用して低侵襲手術を開発してきました。

神経内視鏡手術と顕微鏡手術

脳神経外科手術は従来、顕微鏡を使用し高倍率・3次元視野のもとでの繊細な手術器具の操作を可能にして発展してきました。しかしより脳の深部に至るためには入り口を大きくとる必要があり、頭蓋骨を大きくはずして脳を圧迫したり(一般開頭手術)、また脳に対する侵襲をできる限り少なくするために頭蓋骨をドリルで削ったりする必要がありました(頭蓋底手術)。遠くから拡大して肉眼視に近い像を得る顕微鏡手術と違って、神経内視鏡手術は、内視鏡先端を対象に近づけ、まるで自分の目を対象物のすぐそばに持ってきたかのような広い視野の画像をモニターに映して行う手術です。従って脳の深部を見るには入り口が広い必要はなく、内視鏡と手術道具が入るスペースを確保できればよいため、約10mmの孔があれば可能です。ただし、従来の顕微鏡手術の3次元画像ではなく、ビデオモニターに映し出された2次元画像を見ながら手術器具を操作する必要があり、顕微鏡手術とは違った特殊な手術手技のトレーニングと熟練が必要とされます。低侵襲手術という名のもとに、ただ内視鏡を使用すればいいわけではなく、日本神経内視鏡学会では平成18年度から技術認定医制度を発足させております。

神経内視鏡手術の実際

水頭症手術
水頭症とは、脳の中や脳のすき間を潤して循環している脳脊髄液が正常よりも多く貯留し、頭蓋内圧(脳圧)が上昇することによって生じる病態です。水頭症には、小児の先天性水頭症から脳出血・脳腫瘍に起因する水頭症など様々な種類があります。従来はシリコン性のチューブと脳脊髄液の流れを調整するバルブを体内に埋め込むシャント手術が治療の主流でした。脳脊髄液の流れが何かの原因でさえぎられその上流に脳脊髄液が過剰に貯留して脳内の部屋(脳室)が拡大している場合、内視鏡を使用しその一部(第三脳室の底)に小さな穴を開け、脳室の外に脳脊髄液を逃がす方法があります。これが神経内視鏡手術の代表的なもので、第三脳室開窓術といいます。また左右の脳室を交通させる孔を内視鏡で開けるなど、神経内視鏡を様々な形で応用できます。
下垂体腫瘍摘出術
下垂体は体内でのホルモン分泌を調整するホルモンを出す器官で、その部位には下垂体腺腫をはじめ、いくつかの腫瘍が発生します。この部分の手術は、蝶形骨洞という鼻の奥にある骨に囲まれた空間を経由して下垂体に到達する経蝶形骨洞手術が行われます。蝶形骨洞まで至るために従来は上唇の裏を切開していましたが、近年では鼻の孔を利用して鼻の奥の粘膜を切開して到達する経鼻手術が一般的となっています。鼻の孔を利用するわけですから、入り口が狭いため、顕微鏡より内視鏡が有利です。経鼻的に顕微鏡を使用する方法もありますが、鼻中隔に器具を差し込んで拡大する必要があり、術後の粘膜損傷は神経内視鏡手術のほうがより軽度で済みます。

内視鏡下経鼻手術(Endoscopic Endonasal surgery; EES)
経鼻的に下垂体腫瘍に到達するためには蝶形骨洞を経由する必要があるため、「内視鏡下経鼻的経蝶形骨洞手術」を行うことになります。最近、下垂体腫瘍以外でも経鼻的に内視鏡下で手術を行うことが可能となり、総称して「内視鏡下経鼻手術(Endoscopic Endonasal surgery; EES)」と呼んでいます。この手術は耳鼻咽喉科医による慢性副鼻腔炎に対する手術である内視鏡下副鼻腔手術を応用したものです。

下垂体腫瘍の手術は従来より顕微鏡手術、内視鏡手術に関わらず、脳神経外科医が一人で行うことが通常です。一方、助手が内視鏡を手に持って操作し、術者が両手で2つの鼻孔から器具を入れて手術を行う「two-surgeon technique」という方法があり、内視鏡下経鼻手術の有効な方法の一つとして主として海外で発展してきました。術者・助手の2人のチームワークにより、助手が内視鏡を自在にかつ微細に動かすことによって適切な術野を作ることが可能であり、術者は両手での手術操作に集中でき、手術の妨げになる内視鏡先端レンズの汚れやくもりを解除しやすいといった様々な利点が生まれます。しかしその利点を活かすためには、内視鏡手術に対する高度な専門知識だけではなく耳鼻咽喉科的な鼻副鼻腔解剖の知識及び機器操作の技術を修得する必要があり経験を要します。当院では担当医が国内外での経験を生かし本法を積極的に導入し、更に安全で低侵襲な術式の開発に取り組んでいます。
脳内血腫除去術
高血圧性脳内出血はある程度の大きさになると頭蓋内圧が亢進して周囲の脳を圧迫し、麻痺や言語障害などの後遺症を残したり、最悪な場合は死に至る緊急性の高い疾患です。脳内血腫の除去術は「脳卒中治療ガイドライン」にそって行われますが、神経内視鏡を使用した血腫除去術は、従来の顕微鏡手術と比べて皮膚切開や頭蓋骨を開ける範囲が小さくかつ同等の手術効果を得ることができる低侵襲的な方法です。

神経内視鏡支援手術
神経内視鏡を顕微鏡手術と組み合わせる方法です。例えば、脳動脈瘤クリッピング術の時には顕微鏡の視野では観察困難な動脈瘤の裏側を観察できます。それによって重要な血管の損傷を避け、後遺症を残さず完全なクリッピングを行うことができ、質の高い手術が可能となります。また頭蓋底腫瘍の際にも顕微鏡では見えない部分にある重要な神経や血管を神経内視鏡で観察・確認することでその損傷を防ぐことができます。